2016年2月7日日曜日

ミニうり坊 POPの力で1000冊越えをねらう

POPのコピーを変えて売り伸ばす

『ビッグデータ・コネクト』は2015年4月10日発売の文春文庫の新刊の一員でした。あまり注目されていないようで配本は少な目の20冊でした。従って、新刊コーナーに1面並べて販売はスタートしました。

それでも1日1~2冊の売上がコンスタントに取れていて、10日後には20冊の追加注文が入荷しています。その後の売れ行きも良く、文庫担当が売る気になって、5月中旬には100冊注文して仕掛け売りが始まりました。

100冊が入荷してボリューム陳列を開始してから売上は伸びていきましたが、手書きPOPを付けてからさらに一段と売れ行きがが加速していきました。

そのとき使用したPOPのコピーは下記のとおりです。

担当者おすすめ
ITを知り尽くした著者が
完成度の高い警察小説を書いた
それがおすすめの理由です

担当者おすすめPOPはお客さまへのアピール度が高くなります。他に売れるPOPの定石とされているコピーは「店長おすすめ」「売れてます」などです。

好調な売れ行きが続いていきましたので、新しく文庫担当になった入社2年目女子のイチオシ作品として、10月の文庫ダービーにノミネートされました。文庫ダービーで第1位を獲って1000冊越えをした先輩に続こうとしたのでしょう。

文庫担当は出版社の営業マンたちから自社の作品のおすすめを受けていました。若手にはベテランの営業マンたちの誘いを断り切れないようです。『ビッグデータ・コネクト』『仮面病棟』『強欲な羊』この3点を大きく展開していました。

そんな状況でも『ビッグデータ・コネクト』が個店では圧倒的な販売実績を作っていたのですが、電車広告をうまく使った『仮面病棟』が全店規模で販売実績を作ったため、衆寡敵せずといった雰囲気になっていきました。

10月の下旬『ビッグデータ・コネクト』の敗戦がほぼ決まりかけた時、
「第一位作品の拡販キャンペーンが始まるまでの1か月間、当店の第一位作品をアピールして拡販してみたら?」
と提案をしてみました。

第一位を獲得するつもりで強気に仕入れ、ボリュームたっぷりの展開をしていましたので、ダービー終了時点で在庫は300冊程度残りそうでした。このまま仕掛け売りを収束させてしまうと在庫の消化ができなくなってしまいます。

文庫担当としては在庫を消化するためにもインパクトのある売り方を継続しなくてはいけないと考えたようで、こうすれば売れるかもしれないと考えて、私の誘いに乗ってきたようです。

当店の10月の販売データに従って1位から11位までのPOPをつけて、11月1日からダービー参加商品を展開し直しました。もちろん1位は一番ボリュームを大きくして、順位が下がるごとに小さなスペースになっていくような陳列をしました。

その時のPOPは下記のようになっています。

文庫ダービーにご協力していただきありがとうございました。
当店では『ビッグデータ・コネクト』が
圧倒的な販売実績で第一位を獲得しています。
全店の結果は12月に発表させていただきます。

当店の第一位をアピールしたことはお客さまへの良いアピールになりました。11月1か月間はダービー期間とそん色のない販売実績をつくることができました。

『仮面病棟』拡販キャンペーンの期間が始まった12月には、「全店第一位」を優先するため当店の第一位POPは外しましたが、『ビッグデータ・コネクト』はボリューム陳列を維持し、仕掛け売りを継続させました。

その後も売れ行きは落ちずに推移して2016年の1月を迎え、累計売上は1000冊を突破しました。1000冊はメモリアルな数字ですので、今度は1000冊突破記念POPを作成することにしました。

2015年4月10日発売
10か月と10日経過して
この店単独で1000人の
お客さまにお読みいただいております

このコピーもお客さまへのアピールになったようで、このPOPを付けた途端に売上が再度上昇していきました。

「文庫ダービー第1位の拡販に使用した販売ステージを使って、『ビッグデータ・コネクト』のさらに大きな仕掛け売りをしてみたい」
文庫担当が今度はそんなことを言いだしました。



実はその時点で1000冊突破している店は全国でこの店だけしかありませんでした。再度の大きな展開をスタートさせた時点で、文庫担当はさらにもう一つPOPのコピーを追加させました。

おかげさまで
全国第一位に
なりました

「担当者おすすめ」「当店の第一位」「1000冊突破」「全国第一位」とタイミングに合わせて手書きPOPのコピーを書き加えたことで『ビッグデータ・コネクト』の売り伸ばしが可能となりました。

POPは一枚書けばそれでいいとうものではありません。確かに同じPOPを5年使い続け10万部を超える作品にしたお手伝いをしたこともたこともありましたが、それは例外です。見ていただく方に変化を感じていただくことは重要なことですし、おかわり君はホームラン王ですから。

「POPの力ってすごいですね」
そんなつぶやきがどこからともなく聞こえてくるようです。

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