2015年8月13日木曜日

物語 うり坊とうり坊な人々 26

宴会風景
丸山を始めうり坊メンバーはグラスと酒を持ってテーブルを回り、食べ放題メニューの料理を追加注文していきました。
テーブルごとに、飲んでいますか?と声を掛けてお酌をして回ります。
「お酒がないぞ、ドリンクの追加だ」
そんな手配をしながら、その合間に営業マンから仕掛けの話しが出たり、担当が変わりますと言って新担当の紹介を受けたり、いつものうり坊の宴会と同じで、なかなか忙しくなりました。

お開きの前にはいつも恒例のひとこと言わせろコーナーがあります。ここでのやり取りは本当に面白いです。
「何かひとこと言いたい人」
司会が叫ぶと言いたい方は挙手をします。司会が指名して発言が許されます。大したことのない発言だと、途中でも
「ありがとうございました。またどうぞ」
とされてしまいます。
自己アピールの場を用意しているのですから、どういうことを言ってもいいことになっています。それでも
「へえ、何それ」
「いいじゃん」
「それでどうするの」
などと、なるべく話に茶々を入れ、ボケと突っ込みのある楽しい会話にしていくように努力しています。

予定の時間を大分オーバーしてめでたく終了。それからはどこにでもある2次会です。
今回は丸山も捕まってしまって、若手メンバーと、うり坊賞金稼ぎ高木君の後釜として文庫担当になった中田君がついてきていました。

「こんな華やかな気分になるなんて文庫の会ってすごいですね。語学書とコンピュータの担当を何年もやってきましたが、その間こんな飲み会は1回もありませんでした」
「こういう大きいのは1年間で2回目です。出版社とのこじんまりした飲み会は何回あったか忘れたけど」
話しが弾んで時計を見たら、さあ大変、終電の時間が…
大忙しで店を出て駅にいきましたが、そこには看板が出ていました。
「上り新宿方面の最終電車は終了しました」

候補作
1月22日のうり忘新年会で企画説明をしてから10日後、候補作品のノミネートの期限がやってきました。
非常にタイトなスケジュールでしたが、3月におすすめ雑学文庫全店フェアを行うには、候補作品集め、絞り込み会議、出版社へのお知らせと商品の調達、取次搬入等を考えると仕方のないことでした。

今回はうり忘新年会に参加した出版社限定に近いかたちの運用スタイルになりましたし、期間が短いということから、1社1作品で出版社担当者の「今こそこれを読め」と言えるおすすめ作品をノミネートしていただくようにしました。

候補作品の選定に当たっては、
「チェーン全体で仕掛け売りをしたら、5000冊以上は売れる」
そう自信を持って言える作品を推薦していただくようにお願いしました。

新年会に参加した店文庫担当者からも推薦作品を集めることにしていましたので、従来うり坊が行ってきた全店大仕掛けから比べると、格段に候補作品は多く集められるものと自信を持っていました。

新年会の翌日には最初の候補作品が丸山宛にメールで送られてきました。
「気の早い人がいるもんだ」
「それほど待ち望んでいたのかもしれませんね」
「最近は小説系ばかりが注目されていましたから」
そんな感想がうり坊から漏れてきました。

その後の10日間で、うり忘新年会に参加した25社のうち22社から候補作品のノミネートがありました。店の文庫担当者からも22作品の候補作品が集まりましたので、合計44作品がノミネートされました。

丸山は2月7日に拡大うり坊会議を招集しました。

出版社からのノミネート作品は基本的に少数精鋭の候補作品でしたので、絞り込み会議に参加したメンバーは相当神経を使ったようです。今回は雑学系の文庫でしたので、テーマが絞り込みの重要な要素になりました。
売れそうなテーマでダブっている作品が最初に淘汰されていきました。

出走銘柄
拡大うり坊会議で絞り込んだ候補作品は12作品になりました。雑学系文庫の特徴の一つに数えられるのが、文庫の別レーベルで出版していることだろうが、そういう作品が多く選ばれているようです。

『雑学全書』光文社知恵の森文庫
『読めそうで読めない漢字2000』講談社+α文庫
『日本の名字と家紋』角川文庫ソフィア文庫
『大人力検定』文春文庫PLUS
『出身県でわかる人の性格』新潮文庫
『わがままな病人VS使えない医者』文春文庫PLUS
『そうだったのか現代史』集英社文庫
『東大で上野教授にケンカを学ぶ』ちくま文庫
『壇流クッキング』中公文庫
『話し方を変えると「いいこと」がいっぱい起こる』三笠書房王様文庫
『電通鬼十則』PHP文庫
『ビジネス版悪魔の辞典』日経ビジネス人文庫

いわゆる雑学そのものといえる内容が6点、ノンフィクション系が2点、料理エッセイが1点、ビジネス系が3点選ばれています。果たしてこの12点でどのような販売実績を作ってくれるのでしょうか。

ノミネートしていただいた出版社の方々にメールで選考結果をお知らせし、最終候補作品に選ばれた出版社には2月22日ごろまでに750冊取次搬入していただくようにお願いしました。

おすすめ文庫は各1000冊の搬入でしたので2割5分減の搬入となりました。これは各店の文庫担当者の仕入の自由裁量を増やしたくて決めた搬入数でした。

文庫担当者ごとに強く推す作品を選ばせて、独自の仕入で陳列状態に差をつけさせ、店ごとの競争に拍車をかける狙いがうり坊にありました。

出版社の営業担当者にも各店の自由裁量の話しは伝えてありますので、これから出版社担当者の営業力が試されるのだとうり坊はほくそ笑んでいました。
果たして、結果はどのようになるのでしょうか。


0 件のコメント:

コメントを投稿