波及効果
ビジネス書のチェーン全体の売上の対前年比を既存店ベースで算出してみました。
2007年 4月 101.3
5月 98.3
6月 99.8
7月 103.1
8月 101.8
9月 103.0
10月 105.5
11月 109.7
12月 103.4
2008年 1月 112.8
2月 115.8
3月 108.1
4月 107.4
5月 109.4
ビジネス書の会が立ち上がった2007年7月から既存店ベースの売上対前年比は上回ったまま推移しています。2008年1月、2月はベストセラーが出ていますので二桁以上の伸びになっています。
この間、会員社のダダイヤモンド社、東洋経済新報社、PHP研究所、日経新聞出版社などからベストセラーが多く生まれてこの売上に貢献しています。
ボーリング大会とビジネスダービーをセットにした活動を続けてきた効果は確かにあったと判断しています。売れ行き良好書の手配がそれ以前に比べて強めにできるようになりました。
同時に、出版社営業マン、仕入部のバイヤー、店担当者の三者のコミュニケーションが少しずつ良くなっていることも実感しています。
ビジネスダービーで一回目の失敗を反省して二回目のリベンジしようと考えた方、前回は1位になったのに今回は下位に沈んでしまった方、両方とも下位に沈んでしまっている方も、第1位を取れなかった皆さん全員が、次回のリベンジを期しているようにも感じられます。
楽しさと競争とご褒美が入り混じった企画は、参加している皆さん全体の雰囲気を良い方向に導いてくれるような気がしています。
ビジネス書の既存店ベースの売上対前年比は18か月連続で対前年を上回り、19ヶ月目にそれが途切れました。とても悔しい結果として受け止めましたが、上回ったり、下回ったりを繰り返していたものが連続18か月上回ったとこは特筆できることだと思います。
若手営業マン
チェーン担当の営業マンはベテランもいれば、若手もいます。そんな中でビジネスダービーに付き合うことは若手にとっては色々な意味で勉強の機会を与えられているように感じました。
若手営業マンにとって、ビジネスダービーに参加して他社のベテラン営業マンとの競争を勝ち上がっていくのはとても大変なことのように感じます。
「売れる作品を選ぶこと」
「売れるPOPを書くこと」
「営業の力で売り伸ばすこと」
これらのことを確実にこなしていかないと戦えませんし、ましてやベテランを上回ることはとても難しいことのように感じます。
自社の作品の中から売れ筋商品を発見してそれを単純に書店でおすすめするだけでは勝ち上がっていけません。もっと書店でお買い物をなさるお客さまに強いインパクトを与える何かが必要な気がします。
一気に力をつけることは難しいでしょうから、本部スタッフ、店の担当者、同業他社の営業マンの荒波にもまれながら、一歩ずつ前進していきましょう。
ラッキーな勝利は多くありますが力をつけようとする営業マンにラッキーは必要ありません。今の負けを悲観することもありません。
営業マンの地力をつけることもねらっているビジネスダービーという企画は、なかなか面白いものなのです。ここを勝ち抜いて1位を勝ち取れるようになると、営業マンとしての力を競合他社の皆さんにも認めていただけるようになるでしょう。
ただ、企画そのものもステップアップしていくのが丸山のやり方ですから、それに対応できないようでは、何時までたっても下位に沈んだままで終わってしまうことになるのかもしれません。
若手営業マンは丸山に言わせれば、まだまだ遠慮しているように見受けられます。ボーリング大会で入賞すると、仕掛け売りの権利は公式に与えられますが、非公式に店の担当者にアピールすることはできるはずです。
店の担当者にアピールして、担当者をその気にさせることができれば、誰でもいつでも仕掛け売りのチャンスをつかむことができます。
自社の商品の売れ行き上位3店にお菓子を届けていただくようにお願いしているのは、ただ、単に感謝の意を店の担当者に伝えてもらいたいからだけではありません。
お菓子を届ける際に店長やビジネス書の担当者と話す機会は持てるはずですので、その場を利用してコミュニケーションを密にとっていただくことを同時に願っているのです。
店を訪問して店長やビジネス書の担当者に会って、お菓子を手渡す時に
「ありがとうございました」
だけで終わるようでは営業マン失格と言われても仕方がないと思います。
ボーリング大会で入賞して仕掛け売りの権利を手にしていなくても、話をする機会を与えられたその時にアクションを起こせばいいことなのです。
自社の商品をたくさん売っていただいた店はほとんどが売れる店に限られます。せっかくのチャンスを逃してはなりません。
お菓子を持っていった時には感謝の気持ちが店の担当者にも芽生えている筈です。そんな時に仕掛け売りの話しを切り出せば、会話が成り立ちやすい条件が揃っているはずです。そんなチャンスを逃す手はありません。
ボーリング大会で獲得した仕掛け売りの権利はすでに行使していてひと段落しているかもしれませんし、権利を使う店でない場合もあります。そうした時に
「自社のこの作品の仕掛け売りをお願いできませんでしょうか」
と一言添えるだけでもチャンスは出てくるでしょう。
営業マンはあらゆる場面で自分なりの主張ができなければ、成果はなかなか上がってきません。その用意は周到に準備しておかなければなりません。
仕掛け売りの提案をして合意に至らなくてもそれはそれで仕方のないことなのですが、何の提案もせずにお菓子を届けるだけで終わるようなら、営業マンはやめた方が良いのかもしれません。
ビジネスダービーの推移
ボーリング大会を開催して、その表彰式の盛り上がりの中でビジネス書の会はスタートしました。当初の会員出版社は9社でした。その会が主催して行ったビジネスダービーは、営業担当のおすすめを前面に押し出して、「今こそこれを読め」をフェアタイトルとしました。
この企画の反響が大きく、参加させて欲しいという要望が多く集まったため、ビジネス書の会は会員出版社を6社増やし、翌年の4月に第二回ビジネスダービーを行いました。
この時は勝間和代さんの推薦帯を巻いて売れていた『あなたも今までの10倍速く本が読める』が一位になっています。一回目、二回目共に売れている作品が一位になり、二位や三位に出版社の営業担当者が苦心して選んだおすすめ作品が入賞しています。
第三回のビジネスダービーは9月に行いました。この間の販売実績を整理すると、第一回は売上合計1,329冊、1日平均43冊。第二回は売上合計1,751冊、1日平均58.3冊。第三回は参加店舗が3店舗増えて、売上合計1,682冊で1日平均56.1冊となっています。
第一位帯を巻いて行った拡販キャンペーンでは第二回が800冊超えで、第三回は少し落ちて600冊超えになりました。
春と秋の年2回の企画の実施と、それに伴う出版社との関係性の改善が功を奏し、チェーンとしてのビジネス書の売上が安定して、既存店ベースの対前年比が16カ月連続クリアするまでになりました。
出版社ごとの販売実績を競い、店の規模ごとにグループ分けをしてグループごとの順位を競い、POPコンテストを含めて多くの表彰を行い、ご褒美もできる限りの範囲で皆さんが楽しんでいただけるような内容で用意しました。
こうした企画の工夫で、参加出版社はもとより、店のビジネス書担当者のモチベーションも高くなったことが良い結果を引き寄せたと考えています。
だんだんと企画の盛り上がりが大きくなるにつれて、参加者がヒートアップするケースも出てきました。第三回では第1位作品の著者の作品をセミナー参加者が買いに走るという疑惑が浮かび上がりもありました。
ただ、その時点では著者サイドのお買い上げは想定していませんでしたので、そ出走作品のお買上に対するルールを定めることにしました。
統一企画としてのビジネスダービー
参加者のヒートアップが激しく目立つようになって、企画そのものを見つめ直すべきだと声が上がりました。出版社にとって第一位を得ることは名誉なことですし、第一位を獲得すると波及効果があって10万部以上を狙えることもわかってきました。
これまで店の担当者や出版社の営業担当の様々な要求に応じる中で、うり坊として年4回の全店フェアを行ってきました。おすすめ文庫全店フェア、雑学文庫ダービー、春と秋のビジネスダービーです。
ヒートアップを防ぎ正しい競争をする企画を運営するには何が必要なのだろうか。そう考えて、ルール作りと運用基準の統一が必要なのだろうと考えました。
そんな時に、一部のメンバーから文芸書の企画もやって欲しいという声が上がりました。世間的には文学賞の方が注目度は高いし、全店企画として文芸書を取り上げることは意味があることだと以前から考えていました。
そのため、秋、春と実施してきたビジネスを春だけにして、秋は文芸書に充てることにしました。
3月の雑学文庫、4月のビジネス書、9月の文芸書、10月のおすすめ文庫で全店フェアを実施し、それぞれ1か月空けて、拡販キャンペーンを2か月間行う全店企画の年間スケジュールが変更されました。
それぞれの企画で独自性を持たせつつ、企画の運用方法は統一して、表彰も一本化し、300人規模で年1回行っている出版社懇親会の席で、4種類の企画の第一位作品の出版社を同時に表彰することにしました。
ちなみに文芸書の新企画は、最初の企画書だけは慣れている丸山が書いて、運営実務は文芸担当のバイヤーに任せることにしました。
第四回のビジネスダービーは他の企画と同じ運営方法とすることになりましたので、主催はビジネス書の会でなく、本社仕入部となり、参加出版社もすべての出版社に門戸を広げオープンでの参加となりました。
企画の趣旨については「今こそこれを読め!」という精神は、出版社からのノミネートの中だけで納めるようにし、店担当者からもノミネート作品を募集しました。
応募した作品を持ち寄り、店のビジネス書担当者を集め選定会議を実施し、ビジネスダービー出走作品を選定するようになりました。
スタート
店の規模によってA~Dまでの4つのグループに分けて段階別に部数を設定した配本は従来と同じパターンを使っていました。店ごとに商品の展開場所や陳列方法はバラエティに富んでいました。
全店統一パネルはタイトルパネルだけで、あとは店の工夫で陳列は行われますが、そこに出版社の営業担当が訪問して、店の担当者と話し込んで、自社の作品がより売れるような工夫を加えていきます。
各出版社共にスタート時点から熱の入った営業をしていただきました。中でも積極的に店周りをして、必要な追加注文や、展開方の支援、POPの提供などを行っているのは、ダービーを経験しているの出版社の方達です。
彼らに負けじと新規参入した出版社の営業マン達も店を回り、店の担当者と話し込みをするメンバーも多くみられました。
彼らの頑張りに対して店の担当者もそれなりの対応をするようになります。店の一等地での商品展開が多くなり、POPをお使った陳列もうまくなって、それまでのビジネスダービーでは考えられないペースで売れていきました。
スタートから向こう正面を過ぎ、第3コーナーを回るあたりから、上位の作品のつばぜりあいはとても激しくなり、僅差での競り合いが続きました。全体の動きが良くて、このままペースでいくと、上位入賞作品は一気に300冊超えが狙えそうな勢いがあります。
最終コーナーを回り、直線に入っても激しいデッドヒートが続き、かたずをのんで見守っていると、最後の二日間で売上の異常値が発見されました。それまでの売上推移とは違った極端な数値になっています。事務局で調査することになりました。
結果は勇み足としか考えられません。最終日の三日前にホームページ上で檄が入ったようです。関係者がフェアを展開している店を訪れ、買い上げに走って一気に売上を押し上げてしまい、最後の二日間で逆転したことが判明しました。
最終的な判断は、フェアの期間を二日間だけ前倒しして販売実績を集計し、異常値を排除した形で順位を確定ことになりました。それでも一位と二位の作品が300冊を超え、三位も200冊を超えています。フェア全体の販売数も2,000冊を超える新記録となりました。
最終確定した第一位は『なぜあの人は人前で話すのがうまいのか』になりました。
拡販キャンペーン
これまでの全店フェアでは第一位作品にだけ第一位帯を巻いて拡販キャンペーンをしてきました。それが効果を発揮して売上のブレイクスルーを果たしてきましたが、この回のビジネスダービーでは新しい試みをすることに決めました。
全店フェアそのもので2000冊を超える新記録をつくり、一位と二位が300冊を超え、三位が前回までならば一位並みの200冊越えでした。そこで一位から三位までの3作品を二カ月間の拡販キャンペーンの対象作品とすることに決定しました。
第一位の『なぜあの人は人前で話すのがうまいのか』は従来通りに第一位帯を巻いて拡販します。
第二位の『初めて部下を持つ人のためのリーダーシップ10のルール』も最後の最後まで健闘していました。たまたま過剰反応で買いに走った方々がいて異常値が出たと判断して、第二位帯をつけて拡販することを決めました。
第三位の『残業ゼロ!仕事が3倍速くなる ダンドリ仕事術』は注文のロットの関係で帯は作れないという返答がありましたので、帯なしで拡販キャンペーを始めることにしました。
三位までの入賞が確定した出版社を訪問し、ビジネスダービーの順位に関する説明をさせていただき、併せて拡販キャンペーンの相談を行ないました。
その結果、第一位作品は1,000冊、第二位作品は650冊、第三位作品は400冊の仕入れで、拡販キャンペーンはスタートしました。
1か月の間を置いて6月からスタートした拡販キャンペーンでは、3作品同時拡販キャンペーンということで拡販スペースの確保と商品のお客さまへのの訴えかけが難しいらしく、苦労を掛けてしまったと思いましたが、それぞれの作品は順調に販売実績を作っていきました。
特に第一位作品は2か月目の7月1か月間、私鉄のドア横ステッカー広告を掲載していただきましたので、広告効果も相まって、かつてない販売実績が作り出されました。
2か月間で1700冊弱、初回投入冊数に対する消化率は165%超えという驚異的な新記録が生まれました。
二位作品も大健闘でした。2か月間で500冊弱の販売事績で、消化率は70%を超えました。三位作品は約300冊で、消化率は80%を超えています。3点トータルでも2500冊弱という実績となりました。
0 件のコメント:
コメントを投稿