2015年8月29日土曜日

物語ビジネスダービー 3

組織の拡大
2008年に入るとうり坊の忙しさはピークを迎えたようだった。おすすめ文庫全店フェアの拡販キャンペーンは佳境を迎え、2か月で10000冊を」クリアしたしその後も売れ続けている。
3月に開始予定の雑学文庫ダービーの企画発表を兼ねて1月下旬にはうり忘新年会を実施した。だんだんと人気が高くなったうり坊の新企画に総勢70名が参加して熱気の溢れる新年会となりました。

おすすめ文庫全店フェアは3ヶ月で15000冊を超えるイメージが膨らんだ頃、10000冊突破記念のパーティをしようという声が上がり、雑学文庫ダービーが始まったばかりの時期に著者及び出版社の方々を交えたパーティが行われた。

スケジュールを調整して4月開始と決まったビジネスダービーの企画書は2月末までに作成し、少なくとも3月上旬には顎案内ができるようにし、ノミネート作品を募集しなければならない。

そんな忙しいスケジュールをこなしていく中で、
「ビジネスダービーの出走数が9頭では少ない」
という意見が頭から離れませんでした。
ビジネス書の会に新戦力を加えるという欲求は丸山の頭の中でくすぶっていましたし、店の店長の発言を素直に受け入れようとする気持ちもありました。

「うちも誘ってくださいよ」
そういってくる出版社営業マンもありましたので、何社かに声を掛けて探りを入れましたが、どの出版社も
「ぜひ参加させてください」
という色よい返事ばかりでした。

結果として6社を加え15社でビジネス書の会を運営していくことに決めました。なぜ15社でとどめたのかは丸山自身もよくわかっていなかったのですが、野放図に広げる必要はないし、順次拡大が戦略としては正しいと思ったことが原因でした。

一気に参加社を増やしてしまうとその時はいいのだろうが、後が続かなくなり、進歩のない停滞が起きてしまうことを恐れました。まだ発展途上なのだと自分自身に言い聞かせたい心理が働いたのかもしれません。

第二回親善ボーリング大会
3月上旬に第二回ビジネスダービーの企画書を参加予定の出版社15社宛にメールで発送しました。新たにご案内を送ったのはフォレスト出版、日経BP、すばる舎、大和書房、インデックスコミュニケーションズ、あさ出版の6社でした。

全社から参加のお知らせと登録署名が送られてきました。今回は4月開催ということを意識して、「自己啓発」と「リーダーシップ」の作品のテーマを絞ることにしました。
新年度は新入社員、昇格者、部署異動、新たに部下も持つ人たち向けの需要が増えます。この時期は新たな環境に立った人たち向けの自己啓発や、必要に迫られて読むリーダーシップ系の作品が売れるテーマになります。

また、作品の刊行時期が半年前以前の作品の限定することも条件に加えました。発売後の今、売れている作品を排除して、既刊本の発掘を企画のテーマに加えました。その結果、しっかりとおすすめできる内容を持った既刊本が営業マンから推薦されました。

「ボーリング大会はいつですか?」
そんな問い合わせが相次いで寄せられましたので、ダービー開始直前の3月下旬に行うことにしました。親善ボーリング大会で気勢を上げて、一気にビジネスダービーに突入しようと考えてのことでした。

今回のボーリング大会では前回実力を見せつけてくれたメンバーが不参加でしたので、新たなヒーローが生まれました。第一位は日経新聞出版社が獲得しました。女性参加者を引き連れて参加し、ハンディをうまく活用した形になりました。

仕掛け売りの権利は女性担当者Hさんの担当エリアにあるA店で行使することになりました。HさんはA店の店長とその場で話し合い、
「FBIアカデミーで教える心理交渉術」
を取り上げることを決め、4月早々に150冊搬入する手配をしてしまいました。

日本実業出版社がK店で、フォレスト出版はH店でそれぞれ店の一等地での仕掛け売りの権利を獲得しました。日実は3点での同時拡販を提案し認められたようです。
フォレスト出版のSさんは
「英語は逆から学べ」
100冊搬入して仕掛け売りをスタートさせています。その他にも3社が仕掛け売りの権利をそれぞれの店で獲得しました。

第二回ビジネスダービー
41日スタートの第二回ビジネスダービーに出走する作品が決まりました。

ダイヤモンド社 『マインドマップ読書術』
日経新聞出版社 『さあ、才能に目覚めよう』
東洋経済新報社 『初心者のための「日経新聞」の読み方最新版』
日本実業出版社 『だから部下がついてこない』
日経BP    『営業の赤本』
PHP研究所  『論理的な考え方が身につく本』
明日香出版社  『雑談力』
かんき出版   『35歳までに必ずやるべきこと』
三笠書房    『話しができる男、バカになれる男、男が惚れる男』
フォレスト出版 『あなたも今までの10倍速く本が読める』
あさ出版    『「すぐやる人」になれば仕事はぜったいうまくいく』
インデックス~ 『1週間の習慣』
すばる舎    『人は「暗示」で9割動く!』
大和書房    『自分の小さな「箱」の中から脱出する方法』
中経出版    『論理的な話し方が身につく本』

15作品が並ぶとインパクトのあるフェアが開催できるような気がしてきました。テーマは「自己啓発」と「リーダーシップ」に絞ったはずでしたが、いざノミネートされた作品を見てみると自己啓発系の作品ばかりでした。

41か月間の販売実績は1750冊を超えましたが、1日平均は58冊でした。15作品の参加で投入冊数は4635冊でしたので、1ヶ月時点での消化率は38%です。1点当たりの納入数を少し抑えたのですが、それでも少し不満の残る消化率でした。
それでも5月末までの2か月間の販売冊数は2500冊弱でしたので消化率は54%に上がっています。まずまずの数字かなと思います。

新規参入したフォレスト出版の推薦作品は、当時勢いのあった勝間さん推薦帯が功を奏して、唯一の200冊越えで第一位を獲得しました。それ以外では7位に日経BPの作品が入り、10位以降に残りの4社が集中していました。

それぞれ推薦していただいた作品は既刊本としては売れ筋の作品だったのですが、15社での競合の中で売上を取ることはとても難しかったようです。

順位
作品別順位
1位 『あなたも今までの10倍速く本が読める』フォレスト出版
2位 『論理的な考え方が身につく本』PHP研究所
3位 『雑談力』明日香出版社
4位 『話しができる男、バカになれる男、男が惚れる男』三笠書房
5位 『だから部下がついてこない』日本実業出版社
    以下省略

唯一の200冊越えのフォレスト出版の推薦作品が他の作品を圧倒して、新規参入でありながら断トツの第一位を獲得しました。
前回第一位を獲得した東洋経済新報社は新人向けの自己啓発書を取り上げて参戦しましたが、新入社員の購入は少なかったようで、期待は見事に外れて14位に沈みました。

前回3位のPHP研究所作品が2位に入り、前回2位の三笠書房の作品が4位に入っています。このあたりは企画の趣旨に合った商品で売りやすい作品を選んだ成果が表れているようです。
健闘が光ったのが前回の6位明日香出版社と前回最下位に沈んだ日本実業出版社でした。明日香出版社はPOPの工夫がよくされていましたし、営業マン達のやる気が強く表れて、3位に入っていますし、唯一のリーダーシップ関連の作品を選んだ日本実業出版社が5位に入っています。

店別の順位
1位 F店
2位 K店
3位 H店
4位 M店
5位 A店

店別の販売実績では前回1位のA店が5位に沈み、前回3位のF店が1位に入り、K店は安定の2位の座を維持しています。全店企画ではどんな企画でも常に1位を争っているF店は、気合が入っていて店として奮起した模様が伺えます。
3位のH店、4位のM店は両店とも初めて5位以内に入っています。商品の展開場所と陳列の工夫が見えていました。どこで商品を展開するのか、どのようにアピールする陳列ができるのか、これが売上を上げる決め手だとつくづくと思わされました。

表彰
グループ別順位
20冊展開のAグループ F店
10冊展開のBグループ S店
7冊展開のCグループ O店
5冊展開のDグループ N店

全グループ共に第一回ビジネスダービーとは違った店が入賞しています。モチベーションの高い店が上位に入ってくるし、工夫が見えなくなると下位に沈んでしまう傾向が伺えました。
店別表彰では販売実績第一位のF店が選ばれ、グループ別の第一位とともに無条件で選出され、前回より順位を上げたH店とM店が特別賞を受賞しました。

出版社表彰は
販売冊数第1位    『あなたも今までの10倍速く本が読める』
POPコンテスト1位 『雑談力』
特別賞        『論理的な考え方が身につく本』
リベンジできたで賞  『だから部下がついてこない』

POPコンテストは2回目ともなるとそれぞれの出版社が力を入れて利器札が揃うようになりました。何店舗かの店では店の担当者が出版社に負けじと気合を入れてPOPを作成していましたので、展開場所での陳列の賑やかしになっていたようです。

今回はいずれ出版社からも力作が送られてきました。コンテストではあさ出版の切り文字を使った仕掛け絵本的なPOPと、ハレパネの厚みを活かして立体的に作った雑談力の文字が浮き出た明日香出版社のPOPの2点に絞られました。
最終的にどちらかの作品に絞ろうということになって、POPの効果を売上で判断することにしました。その結果3位入賞した明日香出版社の『雑談力』のPOPが第1位に決まりました。

特別賞は前回の3位からワンステップ上昇して2位に入賞したPHP研究所の『論理的な考え方が身につく本』が順当に選ばれました。もう1点は4位の『話しができる男、バカになれる男、男が惚れる男』と、5位の『だから部下がついてこない』の争いになりましたが、前回最下位の屈辱を味わった日本実業出版社に徳熱賞を与えようということになり、「リベンジできたで賞」を与えることになりました。

ご褒美
「おすすめ文庫全店フェア」「雑学文庫ダービー」それぞれ第1位作品に山村書店第一位の帯を巻いて拡販したところ記録的な販売実績を上げていました。その点を考慮して、
「ビジネスダービー第1位を売り出そう」
という考えが浮かんできました。

1位のフォレスト出版の営業部のSさんに声を掛けたところ
「よろこんで!」
という返事をいただきましたので、拡販キャンペーンをすることになりました。文庫の拡販キャンペーンではそれぞれ5000冊の初回投入でスタートしましたが、単価が2倍以上のビジネス書ではどれほど売れるものかはわかりません。
月間300冊売れればビジネス書の月間ベスト第一位を取れる状況でしたので、それを参考に部数を決めることにしました。

58日にフォレスト出版を訪問して、Sさんと相談することにしました。二人が合意した部数は1000冊でした。初めてのことでもあり、テスト的な意味合いも含めての数字となりました。

際一位帯は文庫と同じスタイルで作成しようということになり、メールで何案かを送っていただき、本部スタッフの協力を仰ぎながら、最終案を社長に見せて516日に最終決定をしました。

5月の最終週までに帯付きの商品を搬入していただき、67月の2か月間拡販キャンペーンをすることになりました。
最初の週は1日平均20冊以上売れていましたが、ビジネス週間ベストの第一位を連続して獲得して、最終的に800冊まで部数を伸ばすことができました。山村書店の単行本としてのオリジナル商品としてはまずまずの出足だったように思います。

1回目のビジネスダービーでは1位から5位までの出版社を招待してJリーグのサッカー観戦の会を催しましたが、今回は西武ドームのBOXシートのチケットが手配できたようですのでそれを使うことになりました。
57日に西武対日本ハムにはフォレスト出版、三笠書房、PHP研究所の3社、64日の交流戦西武対横浜ベイスターズには明日香出版社と日本実業出版社をご招待いたしました。同日にはPOPパネルづくりや他の商品の手配について気づかいの良いダイヤモンド社のH氏を丸山の独断で追加メンバーに加えました。

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